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はみだしブックレビュー:『勝利のルール ル・マンを制した男 郷和道』

放送作家であり、ル マンのテレビ中継の構成を手がけ、テレビ朝日チーム・ドラゴンの設立にも一役買っていたという高桐唯詩(“高”は「ハシゴ高」。サイトはMacではナゼかトップページが表示されない…)が、日本のプライヴェイトティームとして初めてル マン24時間耐久レースを制覇したチーム郷を率いた郷 和道の生い立ちからル マン制覇までの道のりを綴った著。

とにもかくにも、「ル マンで勝ちたい」と思うレース関係者なら一度は目を通すべき本。
ここには「どうすればル マンを勝てるか?」に対する解というか、「トヨタ、日産といった大企業が果たせなかったのに、いわゆるレース屋ですらない郷になぜル マン制覇が出来たのか?」がちゃぁんと書いてある。そしてその解は別にル マンじゃなくてもF1でも充分に通じるハズ。
そりゃ、商業誌の皮を被った個人同人誌(笑)『Sports-Car Racing』でおなじみ鈴木英紀が、「勝てるハードウェア、勝てるソフトウェアを揃え、適切にマネージメントする」という、メソッドとしての必勝法は『ルマンに勝つ方程式』でまとめてはいたけど、やはり監督である郷のバックボーンや資質抜きでチーム郷の偉業を語るのは片手落ちというもの(それに鈴木英紀の冗長な文章から本質を読み解くのは結構疲れるしね(^_^;))。
ともすると日本人は「技術者魂」や「オールジャパンパッケイジで勝つ」といった日本人的矜持を持ち続けて事に当たればいずれは勝てる、あるいはそうじゃないと価値がない、と思いこんでしまいがちだけど、そんな自己満足な情熱だけで勝てるほど近年のル マンは甘くない。
その現実を踏まえ、もともと論理的思考が得意な性向や、留学経験で培った外国人とのコミュニケイション能力を活かし、若い頃の経験故、「人の和」を大切にティームを築き上げていき、自己資金を注ぎ込んで“ルマンに勝つ方程式”を自らの手に引き寄せていく郷の人物像が簡潔にまとめられていて、ページ数こそ少ないけど内容的には読み応えはバッチリ。
そして郷の監督像・方法論がいかに日本のレース界において異質な存在であったか、そして郷のような事のあたり方をしない限り、日本車(企業)はいつまで立ってもル マンやF1を制覇出来ないであろうことを浮き彫りにしている好著。

ただ、結局のところレースなどという道楽は、“ジェントルマン”(日本で一般的な、立ち居振る舞いが紳士的というニュアンスではなく“おカネモチ”の意味合い)あってこそのものなのだな、ということもまた痛感させられ、日本の富裕層が、成金趣味丸出しでフェラーリやポルシェを買うものの、単なるコレクションに終わってしまい「それで競おう!」という風土というか余裕が育たない限りは、日本のモータースポーツってのは、いずれ行き詰まってしまうんじゃないかという危惧を抱いてしまうのは確か。

とまあ、そういうカタイことを抜きにしても、トム・クリステンセンが荒 聖治の実力に太鼓判を押していたことや、04年の参戦をためらっていた郷をプッシュしたのはそのクリステンセンだった、とか、最大のライヴァルティームだったヴェロックスのJ.J.レートが日本人初のル マンのチェッカーを受けた荒にかけた感動的なセリフなど、ネタを拾うためだけに読んでも損無し。
読書の秋、R8のミニカーでも眺めながら読んではいかが?

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コメント

恥ずかしながら、こんな本がある事を知りませんでした。
早速購入しなければ!!

あ、ご存じありませんでしたか、この本。
確かに平積みどころか、本屋じゃ見たことすらなかったですからね〜。
自分も、ル マン関係のDVDや本をアマゾンで検索していて、たまたま見つけたので勝ってみましたが当たりでした(^-^)。

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