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本(ブックレビュー)

2016年に読んだ本ベスト3

年末年始恒例企画、2016年に読んだ本&購入ミニカーベスト3の発表。読書編・・・なんですが、最近通勤時にはついスマホを弄くってしまったり居眠りしてしまったりと、相対的に本を開く時間が減ったことが響いて、なんと年間通じて17冊(ラノベ、ネタ本は除く)まで読書量が減ってしまうというテイタラクぶり(^ω^ ;)。
母数が少ないうえ新作が不作気味な傾向は相変わらずなので、今年はついに3冊選べずベスト2という結果に(^ω^ ;)。

1位:<美術修復師ガブリエル・アロンシリーズ>/ダニエル・シルヴァ

とは言え今年はこのシリーズに出会えたのは収穫だった。
シリーズ初期が論創社、近作はハーパーコリンズ・ジャパンと、決してメジャーなレーベルではないこともあってか、これまでレーダーに引っかからなかったけど、本筋の謀略ものとしての面白さに加え、美術修復師であるアロンを描く上で不可欠な美術的蘊蓄、そして知られざる歴史の裏側にスポットライトを当てるジャーナリスト的視点が渾然一体となって、実に読み応えのあるエンターテイメントに仕上がっており、かつ一作毎のクオリティのムラが少ないのも見事な、今後未訳分が邦訳されるのが実に楽しみなシリーズとなりました。


2位:『 たったひとつの冴えたやりかた』/ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

2位は、キャッチィなタイトルの多いSFの中でも5本の指に入るのでは無いかという名タイトルを持つ本書。
表題作についてはハンカチが必要なほどの感動はしなかったものの印象的な掌編ではあったし、なにより全編に横溢するイマジネイションの豊かさはSFを読む醍醐味を十分に味わわせてくれたことから2位に選出。


3位:該当作無し

はみだしブックレビュー:『豊田章男が愛したテストドライバー』

トヨタ社内で“トップガン”とも呼ばれるマスターテストドライヴァーである成瀬 弘の“特訓”を受け、現トヨタ社長の豊田章男が、いかにして「もっといい車づくり」というフィロソフィーの伝道師たり得るようになったかを追ったドキュメント。

就任早々レクサスES350のリコール問題に見舞われたり、レース参戦を通じて「人とクルマを鍛える」というとり組みを推進したことや、社長自らハンドルを握ってレースに参戦するという姿勢に対する社内の反発など、内外からの逆風に耐え抜き、トヨタを再生へと導くことが出来たのは、成瀬からの薫陶を受けたことが根底にある、という視点で書かれており、その考察については良く書けています。
また、工業製品の完成度という点では世界に誇る品質のクルマを製造する一方で、“80点主義”が「つまらない」と揶揄されることも多かったトヨタ車が、LFAや86のような尖ったカテゴリィの商品を徐々に出せるようになった原動力が、紛れもなく豊田章男であることや、日本のクルマが市場を世界に広げていくための性能向上に、ニュルのようなタフな環境でテストすることがそれほど寄与してきたのか? といった日本の自動車開発史のいち側面を一般の人にも伝える役目も果たしています。
一方で、成瀬やモリゾウ(≒GAZOO Racing)のニュル24時間参戦記、あるいは、同業者からも一目置かれる成瀬ほどの技量の持ち主が、なぜあのような死亡事故を起こしてしまったのか? についてのルポ視点は弱いので、そっち方面を期待すると少々期待外れ。
とは言え、成瀬の存在を事故で初めて知ったような、自動車業界外のジャーナリストによってテストドライヴァーにスポットライトを当てた本が出版された、という事実にはそれなりの価値があると思う。

成瀬の事故のニュースは、当時それなり追ったつもりだったけど、事故発生時真っ先に現場に駆けつけたのが飯田 章だったというのは知らなかった。飯田の心中いかばかりだったか…。
それと、モリゾウが事故の一報を受けたのがトヨタの株主総会当日だったというのも初耳で、よくそんなショック状態の中で責務を全う出来たなと感心するばかり。

2015年に読んだ本ベスト3

年末年始恒例企画、2015年に読んだ本&購入ミニカーベスト3の発表。読書編を行ってみましょうか。
・・・と言っても、今年は30冊しか読めなかった上、星4つを付けたのがロバート・クレイスの『容疑者』、それもK9のマギーの魅力補正で、実質星3つなので飛び抜けた作品は無かったし、星1つが3冊もあった、稀にみるハズレ年だったんだよなぁ。
というわけで、「いっそ今年は選出無し!」とも思ったけど、それはそれで寂しいのでなんとか3冊捻り出してみた。

1位:『パイド・パイパー』/ネビル・シュート

そんな中でも印象に残ったのは、『渚にて』で有名なネビル・シュートの『パイド・バイパー』。
人類滅亡話ですら淡々とした、牧歌的とすら言える筆致で描くシュートだけあって、この作品も派手さは全く無いものの、不幸に見舞われた子供を見過ごすわけにはいかない、という義侠心と、老骨に鞭打ってでも預かった子供を無事戦火から逃れさせる、という強い責任感の一点突破で、時に子供達のきまぐれに振り回され、ピンチに見舞われながらも、愚直に己に課した責務を遂行せんと奔走する、ジョンブル魂を体現する主人公の姿が心に染みる、「冒険小説」というのは、派手なアクションや波瀾万丈さがあればいいってもんじゃないんだな、と痛感させてくれた1冊。


2位:『空色メモリ』/越谷オサム

2位は、日本の作家、特に青春小説というか「すこしふしぎ」というか系の作家で、唯一テイストが肌に合う作家である越谷オサムの青春小説。
非モテ系──ハッキリ言えばデブ──という、決して女子ウケはしない容姿の男子高校生を主人公に据えるという変化球を放りつつ、その球を主人公がコンプレックスを克服する物語を主軸に、ミステリィ成分と恋愛小説成分がほどよくミックスされた青春小説として昇華させた、ラストの余韻の心地よさも光る1冊。


3位:『ジョナサン・アイブ』/リーアンダー・ケイニー

3位は、今やアップルのクリエイティブ面を一手に担う天才デザイナージョナサン・アイブの仕事ぶりをまとめた伝記。
これはまぁ、伝記としての善し悪しとか、ジョナサン・アイブという人物の人となりがどうこう、というよりは、ジョブズ復帰以降、コンシューマー向けIT機器のデザインにおいて、数々のブレイクスルーをもたらした、秘密のヴェイルに包まれているアップルのデザインプロセスの一端を垣間見せてくれたという、アップルウォッチャーにとっての資料性の高さを評価しての1冊。なので万人にお勧めできる本では無いことに注意。

2014年に読んだ本ベスト3

年末年始恒例企画、2014年に読んだ本&購入ミニカーベスト3の発表。ミニカー編に続いて読書編を行ってみますぞ〜。
今年は、ラノベやネタ本除くと読破数が32冊と再び落ち込んだ中、スティーヴン・ハンター、フレデリック・フォーサイス、ローレンス・ブロック、ジェフリー・ディーヴァーら、フォローしている大御所の新作が安定のクオリティで楽しませてくれたのは良かったものの、リリースが集中してしまったため、数年は新作が期待出来ないことが確定してしまったのが辛いところ。
というわけで、今年はここ数年の中では選出がラクだったベスト3をどうぞ。

1位:『クラッシャーズ』/デイナ・ヘインズ

今年のベストワンは文句無しで、墜落事故調査班のメンバー達が、各々の専門分野におけるノウハウ・洞察力を駆使し、一見ヒューマンエラーに見える航空機墜落事故の裏に隠されたテロ計画を暴いていくプロセス自体の面白さと、スリリングなストーリィ展開で上下巻のボリュウムをイッキに読ませるリーダビリティも見事だったこの一冊。
事件の最終的な解決手段が力業過ぎたり、キャラクターの描き込みにちょっと物足りない点はあったりするものの、久々素直に「面白い!」と言えるエンターテイメントでございました。


2位:『雨の狩人』/大沢在昌

2位は、大沢在昌の新宿鮫と並ぶ警察小説シリーズの最新作にして最終作(?)。
超法規的な手段で暴力団を壊滅に追い込む人物の動機がちょっと弱いのが残念だけど、暴対法で締め付けが厳しくなり、暴力団の活動が表面上は萎縮しているように見える一方で、実際には手口のブラックボックス化が進み、犯罪に手を染める層のプロとアマの境界線が曖昧になっているという、近年の犯罪のトレンドを巧みにストーリィに織り込みつつ、大沢らしいハードボイルドに仕上げているのはさすが。
でも、この結末だと<狩人シリーズ>としては後が無さそうなのが残念。


3位:『キル・リスト』/フレデリック・フォーサイス

3位は、76歳にしてまだまだ精力的に時事ネタを盛り込んだポリティカルスリラーを書き続けてくれるフォーサイスの新作。
正直、単巻なのでボリュウムや内容的には物足りない面は所々あるものの、ちょうど日本での刊行時期と相前後して、SNSを通じて世界中からシンパを獲得、過激なテロ行為に走らせるイスラム国の台頭が目立つようになり、フォーサイスの慧眼ぶりが健在であることに改めて感心させられたこともあって選出。

2013年に読んだ本ベスト3

年末年始恒例企画、2013年に読んだ本&購入ミニカーベスト3の発表。読書編を行ってみましょうか。
今年は読破数が少々持ち直し39冊読めたけど(例によってラノベやエッセイ、ネタ本除く)、相変わらずの不作状態で今年も無理矢理3冊を選んだ感じですなぁ(ま、ワーストならとあるラノベの最終巻がダントツなのだけど(苦笑))。

1位:『解錠師』/スティーヴ・ハミルトン

そんな不作の中でもこの小説は実に印象深かったため文句なしの1位。
クライムノヴェルと青年の通過儀礼の物語を実に見事に融合させており、パクリとかそういう意味ではなく、『ライ麦畑でつかまえて』や『真夜中の滑降』といったナイーヴで内省的な青年を主人公にした青春&恋愛小説の味わいを感じさせてくれる、実に余韻の気持ち良い小説でした。


2位:『ル・マン24時間──闘いの真実──』/林 義正&田中紀子

2位はまさかのドキュメント(苦笑)。
これはもうストーリィがどうのとか、小説を読む醍醐味とかとは完全に別ベクトルの、趣味のテーマにおける興味深さだけで突き抜けていた本のため、興味の無い人には全然お勧め出来ないので選出しようかどうしようか迷ったのですが、エンジニア視点でル マンに参加するというのはどういうとなのか? が語られる機会が意外と無いだけに興味深いエピソード満載でル マンウォッチャーとしては抜群の面白さだったことに違いはないので2位にランクイン。


3位:『ブリムストーンの激突』/ロバート・B・パーカー

3位は今年も消去法で残った中で、ロバート・B・パーカーの西部劇シリーズの完結編をチョイス。
とは言え古本に巡り会ったのが今年というだけで、実際にリリースされたのは2009年なので「2013年の」という括りに入れるのにはやや抵抗があるし、ストーリィ自体も取り立ててエキサイティングなわけでもないのだけれど、2010年に他界し、抱えていたシリーズいずれも完結を迎えられなかった中(サニーは一応完結でいいのかな?)、唯一完結を迎えることが出来たことを祝して選出した次第。

2012年に読んだ本ベスト3

年末年始恒例企画、2012年に読んだ本&購入ミニカーベスト3の発表。まずは読書編から行ってみましょう。
今年も読破数が延びず、ラノベやエッセイの類いを覗くと昨年より1冊多いだけの30冊という低調ぶり。さらに今年は「これぞ!」という本も無く、「ベスト」と呼べるほどのランキングになっていないのがなんともはや…(^ω^ ;)。

1位:『バーニング・ワイヤー』/ジェフリー・ディーヴァー

そんな中でも今年ピカイチと言えるのは<リンカーン・ライム シリーズ>最新作。
基本的にはシリーズのフォーマットを踏襲しつつ、毎回なんらかの新機軸を盛り込んで飽きさせない職人技が発揮されており、今回の敵が操る電気という目に見えない武器への恐怖と、シリーズの独擅場であるタイムリミットサスペンスとの相乗効果で緊迫感溢れるジェットコースターノベルに仕上がっているし、今回はサブキャラに焦点を当てて掘り下げた描写があったり、ライムのとある決意も描かれたりと、シリーズものならではのサブストーリィも充実しており読み応え十分な一冊。
読んでから間も無いため印象に残ってるという側面はありつつ、2011年に読んだ中では一番のえびせん本(やめられないとまらない)だったため1位を獲得。


2位:『サトリ』/ドン・ウィンズロウ

2位は現代ミステリィ界の旗手、ドン・ウィンズロウがトレヴェニアンの代表作『シブミ』の前日譚を書いたことで話題になった本作。
テイスト的にはトレヴェニアンというよりはウィンズロウ節の方が強く、トレヴェニアンのパスティーシュとしての出来については疑問符が付くけど、何よりかなりアクの強いトレヴェニアンという作家の衣鉢を継ぐという難題をこなしたウィンズロウの手腕は光るし、昨今あまり読めなくなってしまった正統派スパイアクションとしてはなかなかのリーダビリティで楽しめたので2位はこれかな?


3位:『鮫島の貌 新宿鮫短編集』/大沢在昌

3位は申し訳ないけど消去法で残ったのがコレ、という感じでのランクインした<新宿鮫シリーズ>初の短編集。
とは言え、主に第三者の視点から語られる硬軟織り交ぜたエピソードの数々は粒揃いで大沢の職人技が堪能出来るし、『小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所』『エンジェル・ハート 公式ガイドブック』に寄稿したキャラクターコラボものも収録されているのがファンには嬉しいところ。
このこち亀コラボとシティーハンターコラボエピソード、ネットのレヴュウを見るとあまり評判は芳しくないようだけど、個人的にはこういう遊び心のある試みは嫌いじゃ無いので許容範囲内。

2011年に読んだ本ベスト3

年末年始恒例、需要が有るのか無いのか分からない完全自己満足企画、2011年に読んだ本&購入ミニカーベスト3の発表。まずは読書編から行ってみましょう。
最近、主な読書タイムである通勤時間が短い上、iPhoneがあるとつい車内でネットの巡回をする誘惑に勝てず、転じて読書量が減ってしまうという状況に陥り、今年読んだのはなんと29冊(除くラノベ、エッセイ類)という、このサイト立ち上げて以来最低の冊数に!
そんな嘆かわしい状況の中、今年はそこそこ読み応えのある佳作に巡り会えたので、ここ2~3年ではチョイスにはさほど困らずに済んだのがせめてもの救い。その結果は…。

1位:『壬生義士伝』/新田次郎

今年のベストはやはりこれですかね。
文章の巧さ、構成の巧みさで読ませる小説の完成度としては、今年読んだ本の中ではピカイチ。
主人公吉村貫一郎の生き様を中心に、維新を生き延びた武士達それぞれの矜持、そして貫一郎と親友大野次郎右衛門の友情物語を、上下巻のヴォリュウムにも関わらずだれることも冗長になることもなく描ききった新田次郎の技巧の冴えが味わえる、時代小説の傑作の一つ。


2位:『絆回廊 新宿鮫X』/大沢在昌

2位は久々リリースされた新宿鮫シリーズの最新作。
ここのところの新宿鮫シリーズは、決してつまらないわけではないんだけど、少々プロットのひねりすぎというかストーリィテリングに重心を起きすぎのきらいがあり、ハードボイルドとしての味わい成分的になんとなく物足りなさを感じることが個人的には多かったんだけど、今回は、鮫島がシリーズのキィパーソン2人との別離を余儀なくされるという展開自体の衝撃に加え、そのことが鮫島の心境へ及ぼす影響が掘り下げれている上、ストーリィもドライヴ感があって読み応えバッチリだったため2位にランクイン。


3位:『俺の妹こんなに可愛いわけがない』シリーズ/伏見つかさ

3位は…えー、あー、はい、ラノベでございます(^_^;)。
「ラノベはもういいや」などと自分で言いつつ、去年は今更ながらアニメにだだハマりした『とらドラ!』(BD BOX化バンザ~イ!ヽ(´∀`)ノ)の原作をこっそり(?)全巻読破したりしてた上、今年は今年でアニメがなかなか面白く、ネット配信されたテレビ放映版最終回(GOOD END)とは別ルートの、原作準拠のTRUE ROUTE 12話を見たら続きが気になって気になってしょうがなくなり、ブックオフに並んでいたのを良いことに5~7巻を買い込んで読んでみたら思いの外ハマってしまい、結局「アニメとの違いをチェック」を口実(笑)に全巻揃えてしまった(しかも8巻以降は発売早々新刊で買っている(^_^;))「俺妹」がランクイン。
ストーリィ的には色々突っ込みたいところはあるものの(父親やあやせから桐乃の趣味を守るための「説得」が、しょせん誤魔化しに過ぎず根本的な解決にはなってないだろ、とか)、会話のテンポの良さとキャラの立て方の巧さでストーリィを引っ張り、ラノベのマンガっぽさが良い方向に作用した軽妙なコメディに仕上がっていて、結局一気に既刊を読破するハマりっぷり(^_^;)。
何より、ハーレムものに良くある「優柔不断なだけの八方美人の主人公がちょっと優しく振る舞うと周りの女子がすぐにデレる」という安易な展開ではなく、ちゃんと主人公京介にフラグが立つに足る行動の上フラグが立ってるのがよろしい。
ネットスラングが会話の中に自然に織り込まれていて、それが「今」の空気感を醸し出すのに一役買っている一方で、5年・10年もすればこれが仇となって古びるのも早いだろうけど、まぁ、ラノベにマスターピース足ることを求めるだけヤボってもんですかね。
ラノベはネタ本と考えて本家のレヴュウには含めてないんだけど、今年一番ハマった本はまごうことなきこのシリーズだったので、ここは素直にランクインさせた次第。

その他今年のトピックとしては、やはり2010年に亡くなったディック・フランシス、ロバート・B・パーカーという2大巨頭の作品が(日本では)今年で尽きてしまったことですかねぇ。
存命のヒギンズとこのお二人の作品の面白さ・魅力により読書の楽しさに目覚めた身としては寂しい限り。

はみだしブックレビュー:『アリ・バタネン 一秒への挑戦』

81年のWCR(90年代から興味を持ったニワカなもんで、本書中のこの呼称にどうしても違和感(^_^:))でプライヴェイトティームからの参戦ながらドライバーズタイトルを獲得。プジョーワークスに加入した85年のアルゼンチンラリーで起こしたクラッシュで生死の境を彷徨う怪我を負うものの87年にレースフィールドにカムバック。復帰戦となるパリダカでプジョー205ターボGRを駆り見事優勝を飾り、その後もWRC・パリダカ双方のラリーフィールドで活躍したアリ・バタネンが自らのラリー人生を語った本書を、たまたまブックオフの105円棚で発見したのでサルベージしてバスタイム読書で読了。
本人自身の手にって著されたもののため、ドライヴァーがレース中に感じている心理や本音が垣間見れるという意味では興味深く読めるけど、いかんせんバタネンのキャリアや参加レースの展開が体系的にまとめられているわけでもなく、エピソードも脈絡無く行き来するのでいささか読みづらく、資料的価値には乏しいのがネック。
読むのであれば、いわゆる「自伝」「伝記」の類というよりは、エッセイ集くらいのつもりで読むのが吉。

それにしてもアルゼンチンでの事故後、「アルゼンチンで輸血を受けた」という事実だけでエイズ感染に怯え(アフリカに次ぎ、南米で罹患率が高いと聞き、すっかり思い込んでしまった)、精神的にかなり追い詰められ、ほとんど偏執狂の域に達していたとは知らなかった。
レーシングドライヴァーなんて、メンタル面では我々一般人より遙かに頑健であろうに、断片的な知識だけでエイズになったと思い込み、どんどん自分を追い込んじゃうあたり、なまじ意思が強いことがかえってネガティヴに働いちゃったのかなぁ?

あと、日本人と仕事した経験から日本人への印象を書いている件では、日本人全般の礼儀正しさを賞賛しつつも、ドライヴァーに対しては「もっと競争心を持つべし」と叱咤してくれているのですが、22年経った現在(本書は89年刊行)においてなおあまり進歩してなくて、なんか申し訳ない気分になってしまった。

2010年に読んだ本ベスト3

年末年始恒例企画、2010年に読んだ本&購入ミニカーベスト3の選出、今年も行きまっせー。まずは読書編。
今年は4月に通勤ルートが変わって通勤時間が大幅に短縮されたことに加え、10月以降は仕事がメチャクチャ忙しく、帰りの電車で本を読む気力すら無かった日々が続いたため読書量がガクンと落ち、年間35冊という有様(まぁ、バスタイム読書で読んだ、サイトには挙げてないネタ系やラノベの類も入れれば十数冊はプラスになるんだけど)。
そういった背景事情に加え、今年も各ジャンル不作で、ベスト3を選出するようになってから最もに苦労するハメに。

1位:『ミレニアム』1〜3/スティーグ・ラーソン

そんな中でもベストはやはりこれしかないでしょう。
本家のレビューでも書いたけど、主人公ミカエルの良い子ちゃんぶりっ子キャラやハーレム状態に鼻白んでしまったり、シリーズ通して描かれる、本作の裏テーマとも言える「女性を虐げる男共への怒り」に関する描写が少々くどくて嫌みに感じたりはしたけれど、強烈な印象を残したリスベットの存在感を初めとして、抜群のリーダビリティの高さと3巻それぞれに趣向を変えて飽きさせない工夫で上下巻×3のヴォリュウム感を苦にさせずに読ませる手腕は見事の一言。
ストーリィ的には一区切りはついているものの、著者の急死により、張られた伏線の一部が回収されないままシリーズが途絶えてしまったのが残念でなりません。


2位:『ソウル・コレクター』/ジェフリー・ディーヴァー

2位はリンカーン・ライムシリーズの最新作をチョイス。
このシリーズも巻を重ねるごとに犯人・結末の意外さを出すためにある種の「強い奴のインフレ」が起きていて、読者の目を何とか眩ませようと、叙述トリックを始めとするミスリードを誘った上で覆すパターンを駆使し過ぎて逆に白けてしまうことがままあったりするのですが、今回はその辺は抑えめで、Googleがごとく個人の情報を一企業が握ることの怖さという、現代らしいテーマを下敷きにしつつ、シリーズならではのリーダビリティで一気に読ませる面白さだったため2位に選出。


3位:『アルバイト探偵』シリーズ/大沢在昌

さて困ったのが3位。
なぜ評価的には三つ星だった当シリーズが四つ星を付けた作品を押しのけてランクインしているかというと、四つ星を付けたはものの、じゃあ「今年のベストとして推せるか?」と問われるとそれほどでは無かったというのが正直なところで、それならむしろ、高校生が探偵(正確にはアシスタントだけど)という荒唐無稽な設定ながら、エンタメ性を前面に押し出し、007的アクション物に徹した潔さが、良い意味でマンガチックというかラノベチックな痛快さを味わえる快作に仕上がっていた本シリーズの方が、一作一作の評価としては三つ星でも、シリーズを通じての楽しめた度としては印象に残ったため。もちろん、単に痛快というだけでなく、プロットはしっかりしているし、芯の部分ではしっかりハードボイルドしているからこその評価。

2009年に読んだ本ベスト3

年末年始恒例企画、2009年に読んだ本&買ったミニカーベスト3選出の次期がやって参りました。
今年も、いずれのジャンルでも突出して良かったものが無かったので(なんか、毎年こんなこと言ってるな)少々悩みながらも選出した結果をお届け。
まずは例によって読書編。
昨年末勤務地が近場になって本を読むペースが落ちたのを機にバスタイム読書を本格化させたり、8月になって今度は事務所自体が移転してしまってまた通勤時間が延びて読書時間が増えたこともあり、結局去年並のペースをキープできた今年。そこそこ楽しめた本が結構あり、評価に四つ星を付ける機会自体は多かったものの「抜群に面白かった!」と言えるものは案外少ない上、一部はオマケで四つ星にしたものもあったりで選出には結構苦労し、結果的にはSFのワンツーということに。

第1位:『時間封鎖』/ロバート・チャールズ・ウィルスン

何だかんだ言って今年はこれかなぁ?
「地球外の時間がケタ違いな速さで流れてしまう」というSF的ガジェットの大風呂敷には久々ワクワクさせてもらったし、その中で描かれる個人から総体としての人類の描き方が、過度に悲観的でも楽観的でもないバランス感覚も個人的には共感出来て○。
主役の3人の愛と友情の物語も、その瑞々しさがSF離れしていて良かったしと、色んな要素が高いレヴェルでまとまっていたのを評価。
2部の『無限記憶』はちょっとダレたけど、せっかくの大風呂敷を第3部でうまく収束させてくれることを祈るのみ。


第2位:『20世紀SF(1) 1940年代 星ねずみ』/アシモフ 他

2位以下はほとんど同着と言っていいくらい差が無くて困ったんだけど、SF界の大御所達による幕の内弁当的な楽しさが味わえたこと、個人的にツボでホロリとするエピソード(ハインラインの「鎮魂歌」)があったことで印象が強かった本作を2位に推すことに。


第2位:『誇りと復讐』/ジェフリー・アーチャー

同率2位は「アーチャー版巌窟王」の本作。
そりゃ、細かい点では少々粗いというか雑というかなところもあるし、「いくらなんでも出来すぎだろ」と思わないではないんだけど、そもそもエンターテイメントなんてぶっちゃけ願望充足のためのシロモノなんだから「出来すぎ上等」だと思っていて、昨今の「ハッピィエンドはカッコ悪い」みたいな風潮に違和感を覚える身としては、こういう古典的なプロットを使ってなお素直に「面白い!」と思わせるアーチャーの手腕にはやはり感心。何より読後感の爽快さはピカイチだっただけに2位にランクイン。


この他今年は、批判的なことしか書かないので名は伏すけど、2期の放映を機に初めて触れた超人気ラノベシリーズ(これじゃ明かしたようなもんか(笑))を、アニメ版で感じた違和感というか辻褄が合ってないと感じた部分が原作に依るものなのかを確認するため、実は2冊ほどこっそり読んでみたり。
で、結果的に自分が感じた違和感については、アニメで描写が省かれている場合と、そもそも原作もそうだった場合の両パターンあることが判明。
アニメ側の責任については、尺の都合だろうと理解は出来るものの、「そこ省いちゃいかんだろ」ってキモに関わる部分だったので監督のセンスを疑ったし、自分的に最大のナゾだった、ヒロインがどうして現実界へ留まったかについての納得いく描写が無くて、肝心のオチがイマイチ腑に落ちないのが、原作もそうだったことにもガッカリ(え? 「考えるな、感じろ」ですかそうですか)。
それはさておいても、とにかく人物造形が雑というかリアリティが感じられないのがどうにも…。
主人公がフェミニストぶってる割りには、考えるだけで結局口や態度に出すことなく、マスコットキャラに対するヒロインの無体な行動を諫めることなく看過すくような事なかれ主義者なところや、妙にペダンチックなセリフ吐くところにイラっとさせられるばかりで、主人公として全っ然共感出来ないのが致命的。それでいてちゃっかりハーレム状態になるというリアリティの無さにも興ざめ。
確かにSF的ガジェットはアイディア的に面白いんだけど、ことほど左様に細部の詰めが甘いのが気になってしまい、結局世で熱狂的に支持されている程の魅力は感じられずじまい。
以前読んだラノベも感心しなかったし、今後よ〜っぽどのことが無い限りラノベには手を出さないだろうなぁ。